西伊豆・松崎温泉 掛流しと地魚の宿

冬になると恋しくなるのは温泉。思い立って直ぐ気軽に行けるとなると、どうしても近場の伊豆方面ということになります。
伊豆の温泉地というと有名所の大規模旅館や高級な温泉旅館が目白押しですが、私達の好みとしては、できれば静かで素朴な雰囲気が今なお残るところで、お値段もリーズナブルでそれ程高くない、だけど温泉自体はかけ流しで寛いでお湯が楽しめる、そんな西伊豆や南伊豆エリアの小ぢんまりした旅館や民宿に足が向いてしまいます。
それに、伊豆といえば美味しい地魚たち。旅館の食事とは別に、行き帰りのお昼ご飯に立ち寄る刺し身や天ぷらなどがいただける和食のお店も、宿選びと同じく重要です。
そんなことで、12月中旬の寒い日、雪積もる富士や波打つ冬の駿河湾の景色、そして旅のグルメも同時に楽しめる、1泊2日の温泉ドライブ旅を実行してみました。
今回は、高齢で足の悪い母を連れての3人旅です。自宅から直接クルマで短時間に身体の負担なく宿に行けるし、私達と同じく美味しいものには目がない母は、きっと喜んでくれるでしょう。たまには親孝行しなくっちゃね。

今回の行程

2018/12/09~12/10・1泊2日

<12/09>09:00東名高速道路沼津市11:40海鮮『かもめ丸』でランチ15:00西伊豆恋人岬15:30松崎温泉『豊崎ホテル』チェックイン&泊
<12/10>10;00チェックアウト12;00白田『磯辺』で昼食14:00伊東マリンタウン15:30真鶴町の干物屋&魚屋で買い物東京へ

2018/12/09(日)旅は1日目 東京~西伊豆

09:15
本日は日曜日、朝から怪しげな雲に覆われています。雨☂が降らないことと渋滞しないことを願います。

では、西伊豆に向けて出発っ!

沼津港の商店街に11時過ぎに到着しました。

さて、お昼ご飯に予定しているお店は、この通りか近くのはずなんですが、どこでしょうか?
まずは駐車場を確保します。

漁港前の道路をまっすぐ進むと、通りの角に「ぬまづみなとパーキング」がありました。
大きなパーキングで、遊歩道を隔てて1,2号棟があります。帰りに迷わないよう、駐車した位置をよく覚えておくように。

駐車場を出ると漁港から1本なかに入った食べ物屋さんの路地があり、目指すお店をようやく発見。青地に赤の文字で「かもめ丸」。

 沼津 かもめ丸

沼津港・鮮魚市場にほど近い、横丁路地にある人気食堂『かもめ丸』です。
こちらは、路地を挟んで左右に2つ店舗があって、どちらも同じ経営。案内された方の店内は、座敷席と囲炉裏席に分かれていました。落ち着く座敷席に座ります。
12時近い時間だし日曜日なので、次々とお客さんが入ってきます。

沼津に来たら、まずはおすすめの名物「ぬまづ丼」
生しらす、桜えび、アジなど新鮮な沼津港の鮮魚で盛りだくさんのどんぶり。

伊豆エリア「金目鯛頭の煮魚定食」
味わい深い甘めの煮汁が金目鯛の白身に絡まって、骨までしゃぶっておいしい。

ご当地ならではの「桜海老のかき揚げ定食」
厚みのある香ばしく揚げた桜えび満載のかき揚げは、アツアツなうちに天つゆにちょっと付けて食べると、サクサクです。
ちょっとづつ3人で三種類の定食をシェアしながら、鮮度の良いお魚をたっぷりいただきました。みな美味しかったですが、なかでも『金目鯛頭の煮魚定食』は美味しくって大正解!頭のアラ部分ですが身もたっぷり残ってボリューム十分、お値段もリーズナブル、これは文句なしにオススメ!

ごちそうさまでした。

沼津 かもめ丸 < ¥ 5,100 >
ぬまづ丼、桜海老のかき揚げ定食、金目鯛頭の煮魚定食

遊歩道を歩いて駐車場に向かいます。
さすが日曜日、混雑していますね。

相変わらず混雑している魚河岸「丸天」。前回沼津に訪れた時は、ここの名物「海鮮かき揚げ丼」を食べました。海老と貝柱と野菜がいっぱい入った10cmくらいの厚みのあるかき揚げにびっくりした記憶があります。今では高さのある円筒形のかき揚げを出すお店がほかでも増えてきましたが、ココが元祖なんでしょうか?

では、今夜の宿に向かいます。
沼津の街から西伊豆の松崎町までは、結構距離があり、時間もかかります。途中の海・山の景色を楽しみつつ、遅くならないうちに宿に着くようにしましょう。

途中、伊豆市の「恋人岬」に寄ってみましたが猛烈な風が吹いていて、外に出ないで通過しました。やはり冬の海岸は風強く、荒涼とした感じ。

カーナビで松崎町まで誘導され、やって来ました。もうすぐ宿に到着というところで一本道を間違え曲がり損ねたら、狭い路地に出てしまいました。

クネクネした細い道をどうにか進んだら、おっ、見えてきましたよ今宵のやどが。

西伊豆 豊崎ホテル

15:00
豊崎ホテルのエントランスは木製ドアを通り階段を上がります。
すぐがフロント・カウンター、右手奥がロビーになっています。

チェックインを済ませ、本日1泊するお部屋に移動します。
エレベーターで3階へ。

<301 号 お部屋『見晴らし』>

3階の角部屋で、和室10畳に広縁付きです。
広縁からは、松崎港が真正面に望むことのできるオーシャンビュー?!
今日は朝から天気が良くなくって、寂しい風景なのがちょっと残念です。

お茶とお菓子でゆっくり休んで・・
そろそろ、温泉に行ってみましょう。

お風呂は最上階にあり、内湯のほかテラスには眺めが良い露天風呂が男女別各1つづつがあります。
露天風呂は、大きな酒樽のような丸い形をした木のお風呂で3、4人用くらいの大きさ。
目の前に海も山も見えて、潮風も心地よく、魅力全開です。温泉は天然掛流し100%のお湯がしっとりと肌に優しく馴染ます。

露天風呂からは、松崎港の湾にあるマリーナも海岸線も見えます。
最上階の4階にあるので展望と爽快感が120%!しかも24時間入浴可能です。
宿泊のお客さんは他に2、3組程度でしたので、何時行っても貸切状態で入れました。


露天風呂の洗い場


露天浴槽の中の椅子


露天風呂の観葉小物

こちらは内風呂です。
浴槽はそれほど大きくなく5,6人でいっぱいですが、いつも空いていて他のお客がいたときでも1,2人。心地よい湯加減で、まったり出来ます。
窓を開けると、すぅーと潮風が気持ちよくって、ここからも松崎湾が真正面に見えます。

18:30
豊崎ホテルの夕食は、玄関を出て道のすぐ向かいにある別館食事処「民芸茶房」でいただきます。歩いて10秒、浴衣姿でホテルのサンダルの出で立ちで大丈夫。
ホテルと同経営の磯料理専門店で、宿泊客以外の一般の立ち寄り客もここで食事を摂ることが出来ます。また、お店横では地物の干物専門店も併設していて、買い物もできます。
実は、以前に松崎町に遊びに来た時、ここに休憩と干物の買い物に立寄ったことがあり、その時の印象が良かったので、一度宿に泊まってここで食事をしてみたいと思っていました。

店内は大きな木を輪切りにしたテーブルがドォ~ん並んでいて、柱も立派で木をふんだんに使用した本格民芸風です。
2食付き宿泊では、朝夕とも、ここで地魚を中心としたセット料理が提供されます。メニュー内容は、季節、また、その日の水揚げした魚によって日替わりということなので、何が出てくるか、楽しみです。
何と言っても、このお店の直ぐ裏が漁協の建物、そして、その背後に松崎漁港と市場。ですから、新鮮であることは保証付き。

最初の一皿「赤座(アカザ)海老」
わ~お、この時期にピッタリ、タイムリーな赤座海老です。
数ある海老の種類のなかでも、『とびきり高級で美味しいと言われるアカザ海老』は、滅多に口にすることが叶わない、幻の海老です。漁期も限られ水揚げも不定期なので、今日は本当にラッキーです。
身がプリッとしていて、味噌も美味でェ~す。幸せ~!
この一皿だけでも、豊崎ホテルに泊まる甲斐があったというものです。

続いて「もずく酢の物 」
ぬめりが強くて磯を感じるお味、酢でさっぱりと健康に良さそう!

続いて「自家製塩から 」
ちょっと濃い目の味付けでお酒とごはんにぴったりで進みそう」!

さらに「旬の刺身盛り合わせ」
地魚の金目鯛やアジや甘エビやブリなど6種類の味が楽しめ、わさびも美味しかった。

そして「 サザエつぼ焼」
中身がシュル~んと抜けて一口、これも磯の香りでコリッとしていました。

そして次は「 地魚の焼き魚」
あつあつ焼き立なので、ふっくらで脂もあってジューシーでした。

そして最後に「 海鮮かき揚げ」
こちらも揚げたてがサーブされ、フゥ~ふぅ~しながら海老や貝柱やネギなどをレモン塩で美味しくいただきました。

西伊豆 松崎ならではの新鮮な魚介類料理で楽しませていただきました。
お店は外からのお客様もいらしているので、皆さん、賑やかに食事を楽しまれている様子。
また、お店の人たちも皆気さくで親切で、料理の話、松崎町のこと、漁のこと、ホテルのこと、いろいろ会話が弾みました。

お食事処からお部屋に戻る時、ロビーに繋がる廊下の一角にあるギャラリー・コーナーを覗きました。
「魚剥製ギャラリー」は、駿河湾近海に生息する約150点の魚の剥製を展示していて、魚の特徴や生態について詳しい解説もあり、楽しみながら学べるようになっています。また「水中写真展」では1994年~1995年にかけてアマチュアカメラマン佐藤雅英が撮影した、伊豆近海の水中写真24点。佐藤氏自身の説明文と一緒に展示しています。(HPより参照)

暇な時にはちょっとしたお勉強になる展示です。
しばし楽しみながら鑑賞。


夕食後はゆっくりと部屋で寛ぎました。
寝る前にもう一度温泉で体を温めて・・

おやすみなさい。

2018/12/10(月)旅は2日目 西伊豆~東京

08:00
今朝も昨日と同じ怪しげな雲に覆われています。
もうひとっ風呂浴びて、顔を洗ってさっぱりしています。
おはようございます!

朝ごはんも『民芸茶房』へ向かいます。
一般にも朝ごはんが食べられるように朝7時半から営業していました。
さっそく、他のお客様がいらしていました。

店内には水槽があるんですね!
セッティングされたテーブルについて、朝ごはんをいただきます。

ごはんとお味噌汁が運ばれてきました。
玉子焼き、煮物、小鉢、香の物、ハムサラダなど

そこに、ほど良い感じに焼けた焼き立ての「自家製アジの干物」
香ばしく焼けた干物は、骨まで美味しくいただきました。
あまりに美味しかったので、「自家製アジの干物」をお土産で購入します。

ごちそうさまでした!

朝ごはんの後は、民芸茶屋の直ぐ裏手にある松崎港をお散歩します。

漁船がチラホラ停泊しています。
周りに人は誰もいませんね。

港を挟んだ向かい側には、古い石造りの建物などが見えてます。その奥が伊豆松崎マリーナのようです。
豊崎ホテルの近くをブラブラ歩くと、この辺りにも松崎町を特徴づけている『まなこ壁』の屋敷がいくつか見られます。墨黒と白の塗り壁が美しいですね。維持するのは大変でしょうが、まだまだ生活の中に残っているんだなぁ。いつまでも大切にしてください。

そろそろお部屋に戻ります。
お隣のお店の看板ネコ!声かけても全然動きませんヨ。

・宿泊した部屋から、直ぐ下の『民芸茶屋』、その背後にある松崎港を眺めたところ

10:00
チェックアウトの時間になりました。

豊崎ホテルは、昔ながらの建物をさり気なくリノベーションした、ホテル形式の小規模運営の宿です。家族など少人数のスタッフで切り盛りし、使う部屋数や受け入れの宿泊客も制限しているようです。
ホテル・部屋とも決して豪華ではありませんが、各部屋はバス・トイレ付きで、また、ホテルパブリックは必要最小限の施設・設備も整っています。温泉も、見晴らしの良いかけ流し露天風呂をはじめ、十分に満足できるものです。
効率性やコストセービングを考慮して、朝夕の食事はお隣の民芸茶屋で、また、お布団敷きはセルフとしていますが、その分、宿泊費は伊豆の旅館としては格安の2食付きで一泊約1万円ほど。コスパが良くって、地魚が美味しくって、のんびり過ごせる、あたたかい家庭的な宿です。伊豆ではありがたい存在で、穴場と言えましょう。これからも、リピしますね。

松崎町から道の駅「花の三聖苑伊豆松崎」に向かいましたが、途中でストップ。思い出したっら、以前来た時に大したことなかったので、よらずにスルー。
下田への近道になる田舎道へルート変更。

海岸線国道135号線に出て、河津から伊豆稲取を通過。

そいして、そろそろいつものお店に。

白田 磯辺

私達がご贔屓にする和食のお店。ここは、南伊豆、西伊豆方面に遊びに来たら、必ずといってよいほどお昼ご飯に立ち寄るお食事処『磯辺』
南伊豆の海岸沿いに1軒ぽつんとあるお店で、メインの国道沿いに面しているのですが、うっかりしているとつい見過ごして入り損ねるほど、周りには何もなく看板も控えめです。毎回、見逃して通過してしまわないよう、ドキドキします。

着いたのがお昼12時をちょっと過ぎた時刻だったのでお店が混雑していないか心配でしたが、駐車場が空いて今日はお客さんが少ないようです。

相変わらずの見慣れた店内です。

お店の方の話によると、今日は曇りだけれどいつになく伊豆諸島の島々がはっきりと見えるんだとか。どれどれ、窓辺に近づくと、確かに!!

左が大島利島、薄っすらと島影だけが見えるのは三宅島です。三宅島はかなり離れているのでこんなに見えるのは珍しいとのこと!画像を拡大したらちゃんと見えますね。
そして新島に続きます。
晴れすぎても曇りすぎても見えない、ダメなんですって。へー、今日はちょうどよい曇りかげんって言うことか。

今日は「アジフライ」
妙に食べたくなって注文しました。
揚げたてアツアツは文句なしにおいしいです。

いつもの「アジ丼」
何回食べてもコスパを考えるとベスト1!
盛りだくさんのアジのお刺身!海苔やゴマが混ぜられたごはんに山盛りに乗せられてたアジそしてネギの薬味と少し甘いタレが絶妙!
目にも舌にも鮮度の良さが際立つ姿、安心していただきま~す。

そして「おすすめの白身魚の刺身を定食に」
薄造りの白身魚の刺身は、プリッとした歯ごたえでもみじおろしとレモンがよくあって、さっぱりいただけます。いつもおいしい魚に出会えるお店です。伊豆に遊びに行くときは、行きか帰りどちらか必ず通過する場所ですネ。
ごちそうさまでした。

白田 磯辺 < ¥ 4,700 >
アジ丼、白身魚の刺身定食、アジフライ

伊東マリンタウン

ここ道の駅「伊東マリンタウン」には、観光案内所・レストラン・お土産・スパ・遊覧船・マリーナなどがある結構大きく広い施設です。
お土産になにか目ぼしいモノをチェックしましたが、収穫なし、手ぶらであとにします。

時間は14時です。
せっかくだから恥ずかしながら、記念撮影。これって、来た日も同時に写るので、わかりやすくっていいネ。

では次!行ってみましょう。

14:50
本当に昨日今日と空が曇だらけでいっぱいです。
ずっと海岸線続きで気温も低め、ちょうど熱海の「お宮の松」を通過中。

真鶴 魚干屋 高橋水産

真鶴にある魚干屋『 高橋水産』は、こだわりの自家製造ひもの屋です。湯河原に遊びに行った時に偶然に見つけた、とっておきの穴場のお店です。
ご主人は、大量生産せずに無添加でひものを1人で丁寧に製造されています。その日の天候、風の具合などを考慮して、塩の加減や干し方を変えているとか、とにかく干物に対する執念とこだわりが強い人です。
その割に、街なかや道路沿いの有名干物屋などと比べると、格段に安くて良心的!干物を食べ飽きているはずの地元の住民が主なお客さんというのですから、味も保証付き。
今どきの干物は、いざ食べようと焼き始めると何故か焦げ目がうまくつかないけど、ここの干物は別物。こんがり焼けて、骨までおいしくいただけます。真鶴の近くに行くようなことがあれば、必ず購入することを心がけています。

真鶴駅前 二藤商店

ここ『二藤商店』も、さっきの『高橋水産』同様、近頃、伊豆の帰りには必ず寄る魚屋さんで、魚中心の手作りお惣菜が評判のお店です。
アジなどの地魚のほか、お刺身パック、煮魚、焼き魚、さつま揚げ、野菜煮物、サバ寿司など、お惣菜類が豊富なのが嬉しいですね。
ここで何品か買ったあと、家に帰っての夕飯やお酒の肴にと利用しています。このお店では、金目鯛煮魚(一切れ¥400)は必ず買うようにしています。別袋に煮汁も入れてくれるので、家でチンして煮汁をかけると完璧です!また自家製さつま揚げやちぎり揚げがお酒のつまみにピッタリ。
伊豆からの帰りはいつもクルマが渋滞して疲れるので、家に着いてから夕ご飯を作る気になりませんが、こんな時でも、あっという間におつまみとごはんが揃って、乾杯できるんです。

さぁ、家路に急ぎましょう。

海岸線を走っていると、湾沿いの向こう側に見える景色が美しいオレンジ色に染まっていました。しばしため息をつきながら・・

真鶴を午後4時ごろ出発して、小田原厚木道路~東名高速道路首都高速。
ところどころ渋滞にあいながら、なんとか無事に約2時間15分かけて家に帰ってきました。


今年一年の締めくくりに、伊豆を一周してきました。
おいしい地魚と温泉!癒やされました。
また来年も楽しい旅がしたい!!
お疲れ様でした!